細胞に働きかける美容法とは?
今まで紹介してきた全ての美容法では、肌の老化の根本原因を解決することはできません。
なぜなら、これまでの肌のアンチエイジング法は、不足した成分を補充したり、これ以上老化が進まないように保護するという対症療法だったからです。
肌老化の原因は、加齢、ホルモン分泌低下、紫外線、喫煙、化学物質、大気汚染などですが、いずれの場合にも細胞の元気がなくなって、活性が悪くなることによって、肌老化が目立つようになるのです。
これが肌老化の根本原因で、加齢、ホルモン分泌低下、紫外線、喫煙、化学物質、大気汚染などのストレスを受けた細胞から発生する「活性酸素」が、細胞の元気を奪っているのです。
活性酸素は細胞がエネルギーをつくり出すときにも細胞内に発生しており、これを打ち消して活性酸素を除去する酵素SOD(スーパーオキシドディスムターゼ)という「抗酸化酵素」も同時に生成することで、活性酸素は無害化されています。
しかしSODの生産量は年齢とともに減少します。
SODは35歳くらいから急激に減少し、それを境に活性酸素による老化現象が徐々に現れ始めます。
活性酸素の大量発生に対してSOD生成が不足し始めると、除去しきれない活性酸素が細胞自体を傷つけるようになり、細胞の活性をさらに悪くします。
これによってSODの生成能力がさらに低下するという悪循環に陥ります。
この悪循環によって、肌老化が進むのです。
ですから、肌老化の根本原因を克服するには、肌細胞の活性を低下させないように、細胞を守るか、細胞を修復するか、さらには細胞の産生を高めるかという、細胞に働きかけるアンチエイジング法が必要なのです。
実は私が注目している美肌成分があります。
それが表皮のターンオーバーを改善する「成長(増殖)因子EGF」と、コラーゲンの生成を増やす「成長(増殖)因子FGF」、そして最も私が浸透させたい美肌成分が新しい細胞を生む「幹細胞培養液」です。
肌を細胞レベルで若返らせる可能性を秘めている「幹細胞」
肌を細胞レベルから若返らせ、真の美肌を手に入れるための究極の美容法が、今、再生医療の分野から生まれつつあります。
そのキーワードとなるのが、「幹細胞」です。
「幹細胞」という言葉は聞きなれないかもしれませんが、実は肌細胞を若返らせるために、今、世界で最も注目されているものなのです。
幹細胞を簡単に説明すると、骨、血管、肌、血液、心臓、筋肉など、体のいろいろな細胞に成長できる能力を持つ細胞です。
この幹細胞を使って、人工的に培養した細胞や組織を用いて、臓器などの体の修復を行う医療のことを再生医療といいます。
現在の幹細胞を使った再生医療の研究は、大きく3通りに分類されます。
①ES細胞
ES細胞は、以前はマウスからしか作ることができませんでした。
しかし、現在では、ヒトの卵子からES細胞を作り出すことが可能になっていますが、将来的に一つの命となりうる卵子を使うことに対して、倫理的な問題が残されています。
②ips細胞
京都大学の山中伸弥博士がノーベル賞を受賞したことで、一躍知られるところとなりました。
ES細胞のように卵子を使うことなく、体内の線維芽細胞などを採取し、遺伝子操作をすることで、人工的に多能性の幹細胞を作り出すというものです。
このips細胞(人口多能性幹細胞)は倫理的な問題をクリアしたことと、ES細胞を使った組織移植で懸念されていた他人の遺伝子が移植されることによる抵抗反応を回避できることから、再生医療の現実化を大きく推し進めると期待されています。
③成体幹細胞
体内に存在する「多能性」の成体幹細胞を使った再生医療です。
私たちの腹部や太ももなどの脂肪の中にもたくさんの幹細胞が存在します。
それを抽出して分離し、静脈注射をして難病治療やアンチエイジング治療に用いたり、乳がんなどでの乳房再建手術に用いたり、スポーツ選手などのひざ軟骨再生手術などに用いられています。
私たちの肌に含まれているコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸など、肌に必要な様々な細胞を生み出す「線維芽細胞」も、この幹細胞によってつくられています。
まさに、幹細胞は美肌を生み出す源といっても過言ではないのです。